概要
会社に勤務時の給与を帳簿に記帳していた。その際,給与明細に記載されていた振込額を全て給与とみなしており,以下の仕訳で記帳していた。
普通,会社員は簿記を付けないので,受け取る側の給与の勘定科目については言及されない。しかし,確定申告では給与の欄があり,個人の家計簿としては記帳していおいたほうがいい。
今回,中野区の国民健康保険料の減免申請のために,2019年の1年間の給与の合計を2019年12月と2018年12月の合計の差分から計算して入力していた。収入の証明書類として,確定申告の提出も要求されていたので,確認したところ,確定申告の給与収入の合計と合わないことに気付いた。
原因を調査したところ,給与の中の通勤手当が確定申告の給与から除外されていることに気がついた。念の為,源泉徴収票も確認したのだが,こちらでも通勤手当が除外されていた。
法的根拠
所得税法において,通勤手当は1か月あたり15万円までは非課税のため,所得税の計算から除外されているようだ。
そのため,通勤手当をそのまま給与としてごちゃまぜに合算しての仕訳はまずい。
仕訳
そこで,通勤手当の仕訳を以下のように修正する。
まず,今まで給与とひとまとめにしていたものを,給料 (基本給) と手当に細分化する。そして,月額15万円以下の非課税通勤手当を別の勘定科目にし,15万円超過分の通勤手当を手当に合算する。
場合によっては,手当を残業手当,職務手当などに細分化または分解してもよいだろう。あるいは,手当の細分化が面倒であれば,以下のように給与から通勤手当だけを差し引いてもよいだろう。
とにかく,月額15万円以下の非課税通勤手当を最低限区別できるようにしておけばよい。
なお,非課税通勤手当の仕訳は,他にも旅費交通費から直接差し引く仕訳も考えらえる。
しかし,この仕訳だと,経費が減ってしまい,節税効果が薄くなってしまう。通勤手当以外にも,非課税の収益が存在するので,専用の分類を用意して,そこで対応しておくのがやはり無難だろう。
なお,社会保険料の算出時には非課税通勤手当も合算する。ただ,社会保険料は自分で計算する必要はなく,帳簿は確定申告のために作っているのでそこまでは考慮しない。必要な場合は,該当勘定科目を合算して対応する。
結論
通勤手当の仕訳について整理した。
今回のような例外ケースが簿記には数多く存在する。その他,会計上の考え方や税法上の考え方が混在している。うまく両方に対応するのはなかなか難しい。個人レベルであれば,なんとか対応できそうに思うので,うまい方法を考えて対応したい。