個人事業主で事業所得の確定申告書の中で貸借対照表を作成していくと、「元入金」という見慣れない勘定科目があり、この項目の取り扱いに悩んでいた。
2020年度の確定申告でも悩んだ記憶があり、2021年度の確定申告でもこれがなんだったか忘れてしまい、時間を浪費してしまった。
今後も悩む可能性があるので、次回以降スムーズに進めるために整理する。
この元入金の記入内容は「確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁」の「青色申告者のための貸借対照表作成の手引き」に以下の通りの記載がある。
これが全てなのだが、いくつか補足する。
まず、元入金は法人企業でいう資本金になる。したがって、負債と似たような扱いになる。
そもそも元入金は、個人事業主の場合、事業主借と事業主貸という専用の勘定科目のために用意されているような勘定科目に思う。年度の変わり目で、事業主貸と事業主借の金額を相殺させた残額を考慮するための勘定科目と考えるとよいだろう。
肝心の計算式は、以下のいずれかとなる。値は同じになるのでどちらでも問題ない。
- 翌期首の元入金=期末の元入金+青色申告特別控除前の所得金額+事業主借-事業主貸
- 期首の元入金=期首の資産総額-期首の負債総額
やっていることは、事業主貸・事業主借で相殺させた残額を繰り越しているだけだ。
なお、元入金は期をまたぐとき (期末→期首) だけ値が変わるので、貸借対照表の期首と期末の元入金の記入欄は同じ値を入力する。
基本的に元入金は+の値になるのだが、融資などで借入金で発生したお金を事業主貸 (個人の財布) にそのまま流した場合などは-の値になる。これは事業主貸が他の科目よりも大きな値になり、減算した結果マイナスになることからもわかる。
本来ならば、借入金で借入したお金は現金などの何らかの資産になるため、元入金=資本金がマイナスになることはありえないのだが、事業主貸という期末にだけ登場する勘定科目のためにマイナスの値がありえる。
今回、この元入金がマイナスになるケースに自分が該当して、はたして元入金がマイナスになっていいのか不安になって悩んだ。
手引きに書いてある通り、機械的に処理すればいい。意味を理解してしまえばなんてことはない。これで次回以降は迷わずにスムーズに進められるだろう。