概要
FBAを含むAmazonでの商品販売時の仕訳について整理する。
Amazon物販では、注文を受注して売り上げが発生すると翌日から7日間、返品などのために取引を保留にする。8日目に解放されて、その気になれば登録した銀行口座に振り込み可能になる。通常はAmazonの決済周期に合わせてタイミングでの振り込みとはなる (参考: 留保中トランザクションとは何ですか? – Amazonセラーセントラル)。
このような受注後の売上の拘束があり、売上の仕訳や明細の確認・保存方法について混乱したので整理した。
仕訳
まず、仕訳について整理する。会計は発生主義となる。したがって、仕訳自体は以下のタイミングで行う。
- 出荷日 流動資産.売掛金.Amazon / 営業利益.売上
- 出荷日 販管費.支払手数料 /
- 入金日 流動資産.普通預金.A銀行 / 流動資産.売掛金.Amazon
商品が発送されたら売上を計上する。納品日でもかまわないが、到着日はまちまちなので、発送日・出荷日がよいだろう。売上管理の都合、商品ごとに発生するAmazonの手数料もこのときに計上する。入金時に差し引くというのでもよいのだが、利益計算が面倒になるのでこのタイミングで計上する。
そして、後はAmazonから銀行口座に振り込まれるタイミングで仕訳する。実際には、Amazonから振込処理をしてから、実際に銀行口座に入金されるのに1-2日タイムラグが発生する。タイムラグが気になる場合、以下のように間に適当な一時勘定科目を挟んで日付を調整する。
- Amazon出金日 流動資産.普通預金.振替 / 流動資産.売掛金.Amazon
- 入金日 流動資産.普通預金.A銀行 / 流動資産.普通預金.振替
明細
仕訳を整理できたので、後はこの情報の取得方法・証憑の保存方法を確認する。特に、出荷日と手数料の情報がポイントとなる。共通して [レポート] 画面からアクセスする。
結論としては以下の3画面を確認すればよいだろう。
- 出荷直後の場合、[ペイメント]-[留保中トランザクション] の注文明細を確認して記帳。
- [ペイメント]-[期間別レポート] で手数料の明細を保存。
- [フルフィルメント]-[売上]-[出荷レポート] で出荷日の明細を保存。
リアルタイムで売上を管理・記帳する場合、例の7日間の拘束中は、トランザクションは [留保中トランザクション] に表示されるので、これを確認して記帳する。
ただし、拘束期間を超過すると、[留保中トランザクション] のトランザクションが [トランザクション] に移動するのだが、このときに出荷日の情報がみえなくなってしまう。この出荷日の情報が消えてしまうのが混乱の原因だった。
そのため、月単位や年単位で明細を後から保存する場合、少々面倒なのだが、手数料と出荷日を別々のレポートから保存する。注文番号が共通しているので、その気になればこれで対応関係を確認できる。出荷日と手数料を同時に確認できるレポートがないか調べたが、どうやらなさそうなので、しかたない。
あくまで税務調査や問題が発生時のための保存用データであり、普段は [留保中トランザクション] の情報でその都度記帳すればよい。
後でわからなくなるので、参考までに対象画面の画面キャプチャーも残しておく。
まず、上記が [レポート]-[ペイメント]-[保留中トランザクション] の画面キャプチャーとなる。受注して出荷が発生したらまずはここに情報が表示される。この情報が出荷日と手数料が全て掲載されていて、売上の仕訳に必要な情報が全て掲載されている。通常はこの情報を確認して、その都度仕訳するのがよいだろう。
続いて、保存用の明細の保存画面となる。[レポート]-[ペイメント]-[期間別レポート] で支払手数料の情報を保存する。[トランザクション] でも確認できるが、こちらは一度に600トランザクションまでしかダウンロードできないので、最近の目視確認以外では、使わないほうがいい。
出荷日の情報は、[レポート]-[フルフィルメント]-[売上]-[出荷レポート] を保存する。レポートの意味は「出荷レポート」を参照する。
その他に、近くの [全注文レポート] や [FBA在庫出荷レポート] でもいい。last update dateが出荷日に相当する。全注文レポートはFBAだけでなく、自社出荷もわかるようだ。[出荷レポート] で、FBAと自社出荷の両方が対応できているかはよくわからないが、おそらく対応できていると思う。
結論
Amazon物販での売上の仕訳と明細・証憑の保存・確認方法を整理した。
例えば、「売上の経理処理に関して教えてください – Amazon出品サービス / 新規出品者のヘルプ – Amazonセラーフォーラム」など、ネット上では、[レポート]-[ペイメント]-[トランザクション] の情報で記帳するなどといった情報が散見され混乱した。ただ、簿記の原則からいって、投稿主の通り、発送日で計上するのが正しい。
Amazonのレポートが少々使いにくいが、自分の中で納得いく情報に整理できた。今後はこの方法で売上を計上していく。