概要
直近で以下の確定申告や社会保険料の還付が発生した。
- 2020年分の確定申告の還付
- 就職したことにより,2020年に2年分一括納付した国民年金の還付
- 国民年金未納に寄るiDeCoの還付
このように,一度支払ったお金が還付・返金されるということがときどきある。これらの簿記上の仕訳に迷ったので情報を残す。
返金
まず,一般的な経費の返金の仕訳は,元々の仕訳を打ち消す反対の仕訳を行う。例えば,以下のようになる。
- 支払時: 経費 X円 / 普通預金 X円
- 返金時: 普通預金 X円 / 経費 X円
例えば,家電などを購入して,不良品などで返金する場合がこれに相当する。
不正に経費を計上できてしまうので,年度をまたぐ場合もこれで仕訳する。
通常の経費などの返金であれば,この仕訳で問題ない。
還付
確定申告や社会保険料の還付の場合,考え方が違うので方法が異なる。
重要な視点として,経費・課税の対象可否がある。
元々,所得税・住民税は経費として計上できない。実際の納税金額と帳簿上の納税金額に相違が出てしまうため,これらに関しては打ち消さない。
代わりに,還付金は非課税の雑収入・雑益として扱う。
具体的には,所得税の確定申告の還付金の場合,雑所得の内非課税として扱う。源泉徴収されている普通預金の利子収入などと似た扱いをする。例えば,以下のような仕訳になる。
- 還付時: 普通預金 X円 / 収益.営業外収益.雑益.非課税.還付金 X円
ただし,確定申告の還付金に付随する還付加算金は利息に近いお金になるので課税対象となる。
- 還付加算金: 普通預金 X円 / 収益.営業外収益.雑益.課税.還付金 X円
還付加算金はあまり発生しないと思うので,ひとまず通常の還付金だけ覚えておけばよいだろう。
同じ考えで,社会保険料 (国民年金,個人型確定拠出年金 (iDeCo) など) も処理する。社会保険料は元々社会保険料控除で全額非課税となるため,これらの還付金も非課税の還付金として仕訳する。
- 支払時: 一般管理費.保険料.社会保険料.国民年金 X円 / 普通預金 X円
- 還付時: 普通預金 X円 / 収益.営業外収益.雑益.非課税.還付金 X円
逆に,こう考えないと,元々お金の移動の発生しないところに課税することになり,重課税となってしまう。
また,打ち消すと,年度ごとの社会保険料控除の算出時にも計算が面倒になるので,やはり非課税の雑益として処理するのが都合がよいだろう。
結論
一般的な返金時の仕訳と確定申告や社会保険料の還付の仕訳について整理した。
返金も還付も数としてそんなに多くは発生しないため,発生時の仕訳に戸惑う。
課税対象可否という考えで,社会保険料,確定申告は打ち消しではなく,非課税の雑益とみなすというところに注意が必要だ。
次回以降はこの点を念頭において記帳をスムーズに済ませたい。