概要
以前,「GnuCashで仕訳帳 (General Journal) の期間指定1」で,仕訳帳 (General Journal) では期間を指定できないため,代替方法を紹介した。
しかしその後,掲示板で助言があり,その通りに操作したところ,期間指定可能な仕訳帳相当を用意できた。そこで,手順を説明する。
方法
ポイントは以下の2点だ。
おさらいとなるが,仕訳帳 (General Journal) とは仕訳を時系列で列挙した帳簿であり,総勘定元帳 (General Ledger) は仕訳を勘定科目ごとにグループ化して列挙した帳簿である。どちらも仕訳を記録した帳簿であるが,仕訳の並び順のみ異なる。
GnuCashの仕訳帳 (General Journal) ([Reports]>[Assets & Liabilities]>[General Journal]) には,表示対象期間指定の機能が存在しない。しかし,総勘定元帳には表示対象期間指定機能がある。そこで,総勘定元帳の表示を日付順にソートすることで仕訳帳を用意することができる。
なお,GnuCashでの取引出納帳 (Transaction Report) は帳簿タイトルとメニューでの配置とデフォルトの表示内容が異なるだけで,中身は総勘定元帳 (General Ledger) と同じだ。そのため,取引出納帳と総勘定元帳は同じとみなし,アクセスしやすい取引出納帳 (Transaction Report) を扱う。それぞれのメニュー上の位置は以下のとおりだ。
- 取引出納帳 (Transaction Report): [Reports]>[Transaction Report]
- 総勘定元帳 (General Ledger): [Reports]>[Assets & Liabilities]>[General Ledger]
手順
方法がわかったところで,具体的な操作手順を画面キャプチャも交えて記す。Ubuntu 18.04のGnuCash v2.6.19での例となる。
勘定科目の選択
まず,メニューから [Reports]>[Transaction Report] (取引出納帳) を選ぶ。
デフォルトでは勘定科目が選ばれておらず,何も表示されないので,[Edit report options],ツールバーの歯車⚙アイコン,[Edit]>[Preferences] のいずれかを選び設定画面を表示する。
デフォルトでは [General] タブが表示される。まず,ここで帳票タイトルや表示対象期間を指定する。例えば,以下のようにする。
- [Report name]: 仕訳帳
- [Start Date]: 2020-01-01
- [End Date]: 2020-06-30
続いて, [Accounts] タブを選ぶ。
このタブでは表示対象勘定科目を選ぶ。デフォルトでは何も選ばれていないので,表示対象勘定科目を選ぶ。
例えば,[Accounts] は [Select All] を選んで,下の [Filter By…] で [Imbarance-JPY] (貸借不一致-JPY) や [Orphan-JPY] (不明-JPY) など表示対象外にしたい勘定科目を選び,[Filter Type:]>[Exclude Transactions to/from Filter Acounts] 以外を選ぶなどして,表示対象勘定科目を調整する。
表示対象勘定科目を選んだら,一度 [Apply] を選んで現在の帳票を確認する。
データが表示されているが,表示が日付順ではなく勘定科目ごとになっており仕訳帳になっていない。その他,その他仕訳の相手先勘定科目も表示されておらず,帳票として使いにくい。
そこで,設定から表示順と表示内容を追加で修正する。
表示内容の編集
まずは表示内容を修正する。[Display] タブを選ぶ。
デフォルト状態に加えて,以下の項目のチェックを推奨する。
- Account Name
- Other Account Name
- Running Balance
- Amount: Double (借方,貸方が2列になり見やすい)
- Shares/Price (投資用)
チェックが終わったら,[Apply] を選んでみる。
上記のように表示内容が増えていることがわかる。
表示順の編集
続いて,仕訳帳の肝となる表示順を編集する。[Sorting] タブを選ぶ。
デフォルトではソート順がAccount Name (勘定科目名) となっている。これを以下のように変更する。
- [Primary Key]: [Date]
- [Secoundary Subtotal for Date Key]: [None]
月ごとの集計はあると便利なので残している。
変更後に [Apply] を選ぶと以下のように仕訳が日付順にソートされる。
これにより,表示期間を指定した仕訳帳の完成となる。
必要に応じて,ツールバーのアイコンや [File] からHTMLやPDFに出力する。
結論
デフォルトでは表示期間を指定できない仕訳帳 (General Journal) のの表示期間を指定方法を記した。
取引出納帳 (Transaction Report)/総勘定元帳 (General Ledger) から仕訳帳を作成するというのが,なんともおかしな話だが,帳票としては仕訳帳の要件である日付順で仕訳を列挙できており,立派な仕訳帳だ。
仕訳帳は確定申告で保存が必要となる決算書類の一つであり,次回以降表示期間の指定は問題となるところだった。事前に問題を解決できてよかった。次回の確定申告ので仕訳帳の作成はこの方法でこなしたい。
去年からgnucashを使い始め、こちらの記事を読んで勉強させていただいてます。
決算処理を終えましたが、昨年度の取引はそのまま残っているのですが(帳簿とはそういうもの?)
次年度を始める機能がどこかにあるのでしょうか?
それとも新規で新しいファイルを作成するのでしょうか?
次年度の帳簿作成は2種類の方法があります。
1. 年度ごとにファイル分割
2. 継続
継続する場合、Tool>Close Bookで決算整理します。